143. 危険航空灯台
危険航空灯台は航行中の航空機に特に危険を及ぼすおそ れのある区域を示すための灯火で、 航空障害灯による障害 標示が不適当であるような障害物があり、 または航空機の 航行に特に危険を及ぼすおそれがある場所に設置される。
142. 地 標 航 空 灯 台
地標航空灯台は航行中の航空機に特定の1点を示すため の灯火で、 閃光によるものとモールス符号によるものとが ある。 a ) 閃光によるもの:灯光は航空白で、 1分間の閃光回数
141. 航 空 路 灯 台
航空路灯台は航行中の航空機に航路上の1点を示すため の灯火で、 航空路の中心線に近接した場所に設置される。 灯光は航空白と航空赤の閃交光であり、 1分間の閃光回数 は 12 ~ 20 である。
132. GCA
GCA(ground controlled approach) は、 捜 索 レ ー ダ ー (ASR / airport surveillance radar), 精 測 レ ー ダ ー(PAR / precision approach radar)および無線機により構成される。
131. ILS
ILS (instrument landing system / 計器着陸用施設 ) は最 終進入中の航空機に滑走路に対する正確な進入経路 ( 方向 と降下経路 ) を示す施設である。
129. マルチラテレーション システム
マルチラテレーションシステムは、航空機のトランスポン ダーから送信される信号を 3ヶ所 ( 高度が必要な場合は 4ヶ 所 ) 以上の受信局で受信して、受信時刻の差から航空機の位 置を算出し画面に表示する監視システムである。 日本では モードSトランスポンダーを搭載した航空機の飛行場面に おける監視に利用されている。 飛行場面監視においては従 来の ASDE と比べてブラインドエリアが解消され、悪天候に おいても監視性能が低下しない などの利点がある。
128. 防空用レーダー網
防空用レーダーは、 本来の目的に支障がない限り航空機 が緊急状態におちいった場合には援助を求め、 これを利用 することができる。 その場合周波数は VHF(121.5MHz) または UHF(243.0MHz)を使用する。 呼出しは地域によっ て [219] 項の図に示されたコールサインにより行う。
127. ASR
空港監視レーダー (ASR / airport surveillance radar) は出 発 / 進入管制に使用するために空港に設置されているレー ダーで 、 半径 60 ~ 80 マイル の空港周辺をカバーしている。
126. A R S R / O R S R
航空路監視レーダー (ARSR / air route surveillance radar) お よ び 洋 上 航 空 路 監 視 レ ー ダ ー (ORSR / oceanic route surveillance radar) は、 エンルートの管制を行うための長距 離レーダーで、 半径 250 マイルの空域を二次レーダー (SSR) のみでカバーしており、大部分はモード S 対応になってい る。 日本では図 1-1 のように、 21 のレーダーサイトが運 用されており、 実質的に日本全土を網羅している。
125. ATC 用レーダーの性能
ATC に用いられる捜索用レーダーには、 ASR と ARSR, さらに洋上航空路用として ORSR があり、 ほぼ日本の全土 をカバーしてレーダー管制の用に供されている。
124. 飛行援助通信組織
管制用の通信施設とは別に、VHF 通信によってシーム レスな運航監視および情報提供等の運航援助を 24 時間体制で実施する機関がある。 この業務は広域対空援助業務と 呼ばれ、FSC(Flight Service Center)の業務の一部として 行われている。 [0-6 頁 ], [242], [503], [823]
123. データ通信組織
現在の航空交通業務においては、従来の音声による通信 手段に加えて、CPDLC(Controller Pilot Data Link Communication), ADS-C (Automatic Dependent Surveillance-Contract) お よ び AIDC(ATS Inter-facility Data Communication) な ど の データ通信が使用されている。
122. HF 通信組織
遠距離の通信には短波 (HF / high frequency) が優れてい る。 FIR 内に VHF でカバーしきれない空域のある担当国は HF による通信網を組織して航空機との通信を確保してい る。 ATC 通信用としては 2 ~ 21MHz 帯のうち特定の周波 数が使用される。 HF による遠距離通信は F 層と呼ばれる電離層における 電波の反射波を利用している。 F 層は太陽に面している昼 間や夏季には顕在し、 逆に夜間や冬期には衰退する傾向が ある。 F 層が顕在な時は 8MHz 帯以上の高い周波数が有利 であり、 逆に衰退している時は 6MHz 帯以下の低い周波数 が有利である。 F 層は太陽黒点の数が多い場合に顕在する ことが知られており、 黒点の数が多い時期は、 比較的高い 周波数帯の使用が有利である。
121. VHF / UHF 通信組織
VHF / UHF 通信は主に地上および陸地上空と海岸に近い 洋上における地対空通信あるいは航空機間の通信に使用さ れている。 管制用通信組織はエンルートでのコミュニケー ションとターミナルでのコミュニケーションに大別される。
120. 通信組織とレーダー網
航空交通業務の直接的手段となる通信の組織は、日本が 担当する飛行情報区をカバーし、管制官/管制運航情報官 とパイロットとの無線電話による直接交信を可能としてい る。 また、隣接する外国の管制機関との間にも通信組織が 確立されている。
119. 全地球的航法衛星システム(GNSS)
GNSS(global navigation satellite system)は、ICAO によ り定義された衛星航法システムである。 GNSS を構成する 衛星システムとしては、アメリカが運用する GPS とロシ アが運用する GLONASS がある。 GPS や GLONASS は、単独では航空機の航法に要求される 航法性能を満足できないので補強システムが併用され、こ の補強システムも GNSS に含まれる。補強システムには静止 衛星を経由して航空機に補強情報を提供する SBAS, 地上か ら VHF 帯の信号により航空機に補強情報を提供する GBAS および機上システム単体で補強を行う ABAS がある
118. 航法援助施設の不具合の報告
航空保安無線施設の利用者が同施設の好ましくない作動 を発見した時は、 速やかにこれを報告して、 その不具合が 早期に修復されるための資料とすべきである。 各施設は、 その装置の内部あるいはアンテナ近くの輻射電界内で電子 検知器による監視が行われているが、 電子的干渉による相 殺効果, 施設近くの障害物の出現, 地形の変形等によって 地上監視のみでは検知ができない場合が起こり得る。
116. MARKER BEACONS
マーカービーコンは航空機が航空路あるいは計器進入経 路を飛行中、 パイロットに特定地点の通過を明確に示すた めの施設である。 75MHz の周波数の指向性電波を垂直上 方に発射し、 上空を通過した航空機がこれを受信すると計 器盤上にマーカービーコン表示灯が点灯するとともに音の 信号を発するようになっている。 これらのマーカーは通 常航路上に設置された無線施設と組み合せ、 あるいは ILS の一部として使用される。
115. DME
DME ( distance measuring equipment) は、 航空機から地 上局までの距離を測定する装置である。 DME の作動原理 は、 まず 1 対のパルス ( 質問信号 ) が航空機から特定の間 隔で発射され、 これを受信した地上局は、 質問信号に応じ て周波数は異なるが同じ間隔のパルス ( 応答信号 ) を航空 機に送り返す。 航空機の DME 機器は、信号の往復に要し た時間を測定し、これを航空機と地上局との距離 ( マイル ) に換算して表示する。 . DME は、 VOR と同様見通し範囲内で運用されるが、 非 b 常に精度の高い距離情報を提供する。 見通し範囲内の高 度で 199 マイル以内は信頼性の高い測定値が得られ、 その 精度は 0.2 マイル以下である。
114. VOR/DME
VORTAC は、 VOR と TACAN の2つの施設により構成さ れる施設で、 ひとつのサイトから VOR 方位,TACAN 方位 ならびに距離の3種類の情報を提供している。 すなわち VORTAC 施 設 の VOR チ ャ ン ネ ル と TACAN チ ャ ン ネ ル と は、 使用するパイロットに便利なよう、 国際的な計画に 従って双方の組合せが決められてペアになっており、 機 上の VOR 受信機では VOR 方位情報を, VOR / DME 受信 機では VOR 方位と距離情報を,そして TACAN 受信機では TACAN 方位と距離情報が利用できる。
113. TACAN
TACAN (tactical air navigation) は、 VOR / DME を軍の 前線基地あるいは艦船に設置することが困難なところか ら、これと同様の機能を有し容易に設置できる無線航法援 助施設として軍事用に開発されたものである。 TACAN の 方位信号の作動原理は VOR のそれとはまったく異なった ものであるが、 機上 DME 装置によってこの施設を DME 局 として利用することができる。 また、 VOR 局と TACAN 局 を併設した施設があり、 VORTAC 局と呼ばれている。
112. VOR
VOR (VHF omni-directional radio range / 超 短 波 全 方 向式無線標識施設 ) に用いられる周波数帯は原則として 108.0 ~ 117.975MHz で、 30Hz の基本信号と方位による 可変信号とを発射している。
111. NDB
NDB (non-directional radio beacon /無指向性無線標識 施設 ) は長/中波帯 ( 通常 190 ~ 415KHz) の電波で運用 され、 連続的な搬送波とともに一定間隔で識別符号が発信 される。 識別符号はアルファベット2文字で構成され、 通 常は 30 秒毎に2回の割合で連続したモールス符号により 送信される。 注 ) 米国では NDB は 190 ~ 535KHz で運用されている。
110. 航法援助施設
法律上は航法援助施設の定義がなく、その分類もないが、 航空機の位置を確かめ、その航法を援助するための施設は 一般に航法援助施設と呼ばれ、その多くは無線施設である。
104. 飛行場標識施設
飛行場標識は法律上航空保安施設には含まれないが、 パ イロットにとっては航行の安全上上記諸施設と同様に重要 な役割をはたしている。 この章では施行規則第 79 条を中 心にそれらの施設について[170]~[178]項に記載している。
100. 航空保安施設の概要
航空保安施設とは航空法第2条第5項に 「電波 , 灯光 , 色彩または形象により航空機の航行を援助するための施設 で、 国土交通省令で定めるものをいう」 と定義されている。 そして同法施行規則第1条には次のように規定されてい る。 『航空保安施設は下記のとおりとする